純真ラボ ― 九条カノン ―│s828aebwg00272
「……誰もいない海なんて、まるで世界が終わったみたい。このドレスも、もう砂だらけ。ねぇ、私をこのまま波に攫わせちゃうつもり?」寄せては返す波音が、永遠の断片を刻む人気のない黄昏の海岸。純白のウエディングドレスに身を包んだ彼女は、濡れた砂浜に横たわり、重厚なレースの裾を波打ち際に漂わせていた。幾千もの真珠を散りばめたような細やかな刺繍が、夕刻の残光を浴びて鈍く光り、砂と海水に汚されることで、かえってその美しさを悍ましくも崇高に引き立てている。仰向けに横たわった彼女の身体の曲線に合わせて、重なり合ったチュールが不規則な陰影を描き、剥き出しのデコルテから立ち昇る熱気が、潮風の冷たさと衝突して微かな幻惑を生んでいた。本来は神聖な誓いの象徴であるはずの白衣が、湿った砂に沈み込み、彼女の肢体にまとわりつく様は、純潔が現実の泥濘に溶け出していく背徳の光景そのものだった。ドレスの重みに身を任せ、虚空を見つめる瞳に静かな情熱を湛える彼女。その潤んだ眼差しには、祝福なき静寂の海辺で、あなたというただ一人の証人に己のすべてを捧げ、共に朽ち果てることを望むような、狂おしいほどの情念が宿っていた。これは、潮騒に飲み込まれていく、最果ての婚姻。砂浜でドレスを乱し、露わになった少女の「研ぎ澄まされた誓約」を、どうぞその渇いた腕の中で、永遠の孤独ごと抱き締めてください。
FANZA










